東京建物の輝きを継ぐ
街づくり

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vol.2 インタビュー
日本初だからこそ、挑戦する

プロジェクト開発部 再開発・建替グループ
グループリーダー
長井 芳行

日本初(※1)の事例として2015年3月に竣工となった庁舎一体型のタワーマンション『ブリリアタワー池袋』。そこには日本初の事業ならではの困難が待ち構えていましたが、当社は創業以来の「進取の精神」の理念をもとに、グループの総合力で結実させました。遊びや仕事の街としてのイメージが先行する池袋が、販売開始の翌年には一転、「住みたい街」として民間調査(※2)の上位にランクインしたのは、このプロジェクトが少なからず影響しているといえます。プロジェクトを担当した長井が、プロジェクトの舞台裏を紹介します。

※1 自治体本庁舎として全国初(2010年11月豊島区調べ)
※2 SUUMO(スーモ)「住みたい街(駅)総合ランキング2014」

ブランドコンセプトを具現化する

——日本初のプロジェクトに参画した経緯について教えてください。

ブリリアタワー池袋は、廃校になった区立小学校の跡地と周辺の住宅や雑居ビルなどを合わせた、エリア一帯の再開発プロジェクトでした。豊島区としては同時に、老朽化し分散していた庁舎を、災害が起きた際の拠点ともなる新庁舎に構え直したいという希望がありました。周辺では2003年ごろから再開発の気運が高まっていたこともあり、権利者と行政による街づくりの話し合いが持たれ、庁舎と住宅の一体化という方向性が打ち出されていたのです。そうした中、私たちは主に住宅部分において、マーケティングから商品企画、品質管理、販売、広告・プロモーション、管理運営まで一体的に計画・実行できるデベロッパーとして事業パートナーに選ばれました。

——前例のない庁舎一体型のタワーマンション事業の取り組みに向けて、どのような想いを抱いていたのでしょう。

まず、池袋と聞いたとき、遊びや仕事の街というイメージが強いように思いました。ところが、駅から徒歩8分ほどのこのエリアは、公園もあり、買い物にも便利で実は住みやすい街だということに気づきました。そこで、「池袋の街のイメージを変えていきたい」という高い目標を持ち、ブリリアタワー池袋をそのきっかけにという想いで取り組みました。

——物件名に「池袋」と付けたことにも想いがあるそうですね。

そうなんです。周辺地域には物件名に「池袋」を冠しているタワーマンションはありませんでした。しかし、私たちは池袋という街のイメージを変えたいという強い想いから、最高の品質、上質な空間という「Brillia」のブランド名と共に、絶対に「池袋」を冠するべきだと考えブリリアタワー池袋と名付けました。

——販売開始の翌年には民間企業の調査で池袋が「住みたい街ランキング」の3位にランクインしましたね。

その前年まで10位にも入っていませんでしたので、大変驚きました。それがブリリアタワー池袋によってなどというのはおこがましいですが、私たちが目指したことが、ある程度評価されたのではないかと思っています。

池袋駅から少し離れた小学校の跡地に建つ日本初の区本庁舎・高層集合住宅一体型再開発プロジェクト

——商品企画や販売の面では、どのような点に留意されたのでしょう。

当時は東日本大震災の後というタイミングで、タワーマンションに求められることが大きく変わりました。震災前までは、きらびやかでゴージャスな商品企画が多く、豪華であることが重視されていました。それが震災後には、安心や安全が求められるようになったのです。私たちも改めてBrilliaのブランドコンセプトである「洗練と安心」に立ち返り、高いデザイン性や住環境と共に、安心と安全により注力して商品企画を行いました。

——具体的には、どういった部分で「安心、安全」を取り入れたのでしょうか。

震災前の計画ではオール電化でしたが、ガス式を併用することでインフラ対応を強化しました。さらに、非常用発電機を導入し、災害時にも72時間(3日間)電力供給ができるよう備えています。そして最も大きな点が、日本初の事例となった庁舎との一体化による高い耐震性です。本庁舎のような重要な公共建築物には、災害時にも拠点として機能するような最上位の耐震基準への対応が求められます。豊島区の新庁舎の上に建つ住宅ということで、より高い安心・安全を打ち出すことができました。

「ブリリアタワー池袋」と一体開発された「としまエコミューゼタウン」に設けられた、豊島の森のビオトープ。

新たなビジネスへの挑戦で得られること

——日本初の試みならではの難しさもあったと思います。

確かに、住宅と庁舎を一体とすることでの難しさはありました。それは竣工したあとの運営、維持管理の面です。1つの建物に庁舎、住宅、商業施設が存在することになりますので、将来にわたってうまく運営しながら共存していくことまでを考えて計画していくことが非常に重要でした。そこで、共有・共用部分についてはそれぞれ、どなたの意思決定で維持・管理していくのかを細かく規定しておくことで、例えば修繕が必要な場合でもスムーズに実施できるような整理を行いました。

——そのような難しさは、どのように解消したのでしょうか。

東京建物が掲げる方針に「進取の精神」というものがあります。実は、今では当たり前になっている住宅ローンの原型となる商品は、当社が開発したものなのです。東京建物には、そういった新しいことを最初にやろうという精神が脈々と受け継がれています。今回のプロジェクトでも、住宅部門だけでなく商品企画や品質管理の部署など、全社的なバックアップを得ることができました。新しいことに挑戦するとき、初めてだからと消極的になるのではなく、それをむしろやりがいと感じて取り組む姿勢があったからこそ、日本初の難しさを乗り越えることができたのだと思います。

ブリリアタワー池袋の1〜10階は区本庁舎や商業施設・事務所、11〜49階が住宅ゾーンに分かれている。

——完成したブリリアタワー池袋に対して、権利者の方々からの反応はいかがでしたか。

権利者の方々は、タワーマンションに住んだ経験はなかったので不安もありました。ですが竣工した際に、「イメージしていたものができた、東京建物と組んで本当によかった」と言っていただけました。お年を召した方の中には、お孫さんたちがよく遊びに来てくれるようになったと喜ばれていたり、ご家族の交流が増えて一緒に住まわれるようになったりという事例も伺いました。本当に充実感を得ることができました。

住宅部分については、エントランスを入った瞬間に別世界に足を踏み入れたようなドラマチックな演出や屋上庭園からの360度の眺望など、共用部のグレードが高く、品質の良さが感じられるというお声もいただきました。また、竣工から数年たってお聞きした際には、キッチンが使いやすいとか、建具がとてもしっかりしているなど、建てたばかりの美しさだけではない、住まわれたからこそのご評価もいただけて、とてもうれしく思っています。

——再開発では周辺エリアへの配慮も必要になると思いますが、その点での取り組みはいかがでしょうか。

外観などのデザインには、世界的な建築家の隈研吾氏に監修をお願いしました。周辺への圧迫感を軽減するために、庁舎部分は上階に行くほどに傾斜を付けるといった、華やかさだけではないパブリックデザインが施されています。そうすることで各層にグリーンテラスを配置することができ、庁舎最上階の屋上庭園まで立体的に植栽の生育を観察できる、区民に開かれたスペースも生み出すことができました。地域の小学生が環境学習の場としてよく利用していたりと、都市にいながら緑を感じ、学ぶことができる垂直庭園となりました。

——今回のプロジェクトで得られたこととは何でしょうか。

新しいビジネスに挑戦することで、その分野での先駆者になれますし、実績を作ることができます。実績によって、新たなご相談やご依頼もいただけます。実際に昨年、葛飾区の新庁舎建設を予定している立石駅前の再開発においても、東京建物を参加組合員予定者にご選定いただけました。豊島区の先駆的な事例、さらに葛飾区の事例でも1つひとつ丁寧に取り組むことで、新たなビジネスのチャンスが生まれると考えています。当社は創業から123年ですが、「次も選ばれる東京建物」を目指して、これからも進取の精神でグループの総合力を結集し挑戦を続けていくことが大切だと考えています。

  

新たな挑戦を続け、次も選ばれる東京建物に

「立石駅北口地区第一種市街地再開発事業」

葛飾区総合庁舎移転先の最優先候補地として、京成電鉄押上線京成立石駅の北側に隣接する約2.2ヘクタールの区域に区本庁舎のほか、住宅や商業施設などを計画。当社は参加組合員予定者として、ブリリアタワー池袋に次ぐ新たな区本庁舎を含む大規模再開発事業を推進しています。街のにぎわいを創出し、防災性の強化、交通結節点機能の強化を図ることを目的に、安全・安心な街づくりを進めています。

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